2006年 08月 27日
「これはあなたのテレビの故障ではありません。こちらで送信をコントロールしているのです。水平線も垂直線もごらんのように自由に調節できますし、映像のゆがみも思いのままです。また、焦点をぼかしたければこのように、あわせたければいつでも鮮明に映し出せます。あなたは、これから私たちとともにすばらしい体験をなさるのです。それは未知の世界の神秘ともいうべき宇宙の謎を解く驚くべき物語です。」ーーーナレーション 若山弦蔵 このナレーションの出だしで始まる、SFTVシリーズの原点ともいえる「The OuterLimits」です。アメリカでは1963年9月16日に始まりました。日本では、第一シーズンは、テレビ朝日(NET)で64年の2月8日から始まっています。同じテレビ朝日の看板番組である「日曜用洋画劇場」の2年前の出来事です。記憶はふたしかですが、土曜日の夜8時から9時までやっていたと思います。怖いもの見たさというか、何回も恐怖で寝られなくなった記憶があります。(笑) 再放送は何回もされていると思うので知っている人も多いと思います。 私の中で、SFが確固たる位置を占めているのもこの番組の力が大きいと思われます。 子供心にしっかりと植え付けられた気がします。(笑)しかし、番組自体は決して子供向けではなくかなり重く、暗い作品が多いです。でも、毎回のようにモンスターや宇宙人が登場します。 これが人気の秘密だったようです。(笑) ここでは有名な話を1つ紹介します。さあ、心の準備はいいですか?恐ろしく長いですよ。(笑) マシューズ教授の古びた屋敷にパンを配達しにいったキャッシーは、教授の飼っている不思議な猿を見た。 教授は猿に実験データを渡しこれをしまうように命令する。すると、どうだろう。猿は書類を片付け始めたではないか。 「この猿は人間の言葉がわかるのね。どうしてこんなに利口になったの?」 「猿の体の遺伝子を渡しが発明した進化装置で、進化させたんだよ。この猿は一万年も進化して人間の子供と同じ知能になったいるんだ。」教授の言葉を聞いたキャシーは目を輝かせて教授に聞いた。「人間でもかしこくなるの?わたしバカだから、かしこくなりたいの。」 「ああ、なれるとも。まだ人間で実験はしていないがね、この村にはろくな人間はいないな。いい助手がほしいのだが。。」 その翌日、キャシーは炭坑を首になった恋人のギリムを教授のもとにつれてきます。 教授はうんざりした顔でため息をついてこういいます。 「きみは、遺伝学も、微生物学も、電子物理学も何も知らないだろう。炭坑に戻り給え。」 「助手がダメなら、人体実験に使ってくれ、おれは覚悟してきたんだ。」 そして教授の作った進化装置の中にはいった。 「このレバーをおすと、君は一分間に一万年の割合で進化を始める。一分後には一万年後の進化した人間になるんだ。」 機械がうなりをあげて動き出す。計器の針がけたたましく動き出す。 機械から出てきたギリムの姿は一変していた。額が大きく突き出ている。ギリムには、新しくテレパシー能力も備わっていた。進化したギリムは博士に、静かに言う。「あなたが、こんな実験をしているのは、自分が関わった原子爆弾で何万人も人が死んだことに対する懺悔なのですね。こんな人里離れた村に埋もれて、戦争をなくす研究に身を捧げる決心をした。」 「なぜそんなことを知っている。」 「他人にすぐれた力を与えることは、きけんなことでしょう?後悔しているんじゃないですか?モデルを誤ったんじゃないかと、、」 「なぜそんなことを言う?」 「わたしには、あなたの心が読み取れると言うことをお忘れなく。」 そして彼は、教授の持っている山のような本を片っ端から読みまくります。 心配をして訪ねてきたキャシーに会おうともしません。それどころかじゃまするなと追い返します。 彼は、機械にかからなくても勝手にどんどん進化を続けます。手の指も6本になっています。 「なぜ機械にかからなくても進化しているんだ。」教授が独り言のように尋ねた。 「生徒が先生にしつもんするのですか?簡単なことですよ、あなたがわたしの進化組織を解放したからですよ。だから自己能力で進化を続けているわけです。今はだいたい100万年後の姿です。ふ、ふ、ふ。」 「なぜわらっている。」 「おかしいからですよ、あなたは、私のことを怪物だと思っている。だが、私から見ればあなたは、過去の哀れな怪物だ。」 「たいへんだ、手遅れにならないうちに自己進化を止めないと。」 「あなたは、自分が猿に戻りたいとおもいますか?」 ギリムは暴走します。気に入らない人を念動力で殺します。 そればかりか、恨みのある村全部を破壊しに外へ出て行こうとします。 教授は必死で止めようとしますが、むなしく吹っ飛ばされます。 警官がやってくるのですが、その二人を動けなくはしますが殺しはしません。 彼はもうすべてを超越した存在になりました。憎悪や遺恨、名誉、そんなものを超越したのです。彼は言います。 「自分のなかに人類の遙か彼方の姿が、おぼろげながら見える。その日初めて人類は平和を得るんだ。宇宙だ。知的な精神のみとして存在するのだ。それは進化の究極でもある。人類は誕生して夢見た姿にたっせいするのだ。それは大空に舞う天使かもしれない。だが、道のりは遠く私には待てない。この進化装置で私を使って私を極限の未来へ進ませてくれ。」 キャシーは泣いて止めますが、ギリムは優しく言います。 「きみがみんなからさげすまれ、うとまれていた僕をこんなに進化させてくれた。僕は行かねばならない。あまり時間がない。」 ギリムは装置の中に入り、キャシーは装置を動かします。 キャシーは進化ではなく、退化の方にレバーを引きます。 「もとに、もどって。」 どんどんレバーを引きます。 機械が大きくうなりをあげ、計器が狂ったようにはね回ります。 どんどん元に戻ってきます。キャシーはレバーを下げ続けます。 退化しすぎてしまいました。あわてて元に戻そうとします。 何とかうまく間に合ったようです。ギリムはゆっくりと外へ出てきました。 そして何も言わず、キャシーの涙に濡れた顔に手を触れます。 そしてものも言わず、そのまま倒れ込みます。どうやら彼の心臓は動いてはいないようです。 そこに教授が走り込んできました。 ギリムを優しく抱いてキャシーが言います。 「私がもどしたの、彼も喜んでいるわ。」 物語はこれで終わりです。彼は死ぬ前に神の夢を見たでしょうか。 それとも神になれた自分を見たのでしょうか。究極の進化。。。 ちなみに0011ナポレオンソロでも有名なデビット、マッカラムですが、このときの日本語吹き替えは野沢那智ではなく愛川欽也が担当しています。 #
by ryoo2006
| 2006-08-27 21:09
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